貴方と私
朝日に照らされ瞼を上げる
私の瞳は貴方を捕らえ
いつものように貴方を愛でる
あれは十日も前のこと
貴方の心は私のものよ
そう言い私は心臓抉る
眼が落ちるほど瞼を開き
貴方はふらつき地面へ伏せて
紅い液体周りを染めた
今は私の隣で眠り
愛しい貴方は全てを晒す
脳も内臓も何もかも
ゆるりと私は身を起こし
愛しい貴方の全てを纏い
永久の眠りへ堕ちてゆく
何も出来ない私
私は呪詛を紡げない
貴方に舌を抜かれたから
私は醜悪見られない
貴方に目玉を抉られたから
私は腐臭を嗅ぎ取れない
貴方に鼻を削がれたから
私は悲鳴を聞き取れない
貴方に耳を千切られたから
貴方が何かを放り込む
今夜も一人「私」が増えた
手
「手」って何?
うぞうぞと蠢く十本の「指」
「指」の先に付いた硬く半透明な「爪」
無数の皺が刻まれた「掌」
微細な「毛」がいっぱい生えた「手の甲」
「指」で「手」の表面を引っ張ってみる
少し伸びて千切れた
千切れたものは「皮膚」
中から溢れてくる液体は「血」
「爪」でがりがりがりがり引っ掻くと
見えてきた白っぽい物は「骨」
結構硬くて丈夫だけども
力いっぱい曲げると折れた
「指」の先を噛み千切る
切断面は奇麗な層だ
「血」で埋もれて直ぐに
見えなくなるのが残念
「手」の付け根を「爪」で引っ掻いていく
「皮膚」が千切れて落ちていく
中から溢れる「血」は床に広がっていく
「爪」も剥がれて落ちていく
「筋肉」も「腱」も「血管」も
みんなみんな千切っちゃって
太い「骨」だけになっちゃった
もう「手」は動かない
あれ?あれれ?
なんだかくらくらする
ふらふら揺れた「私」の「身体」
床の「血」だまりにびしゃっと倒れた
何でだろう?ぼんやりしてきた
何でだろう?力が入らない
何でだろう?真っ暗だ
何でだろう?動けない
「手」が知りたかっただけなんだけどなぁ?