一部始終を見終えた私は研究員になって初めて、
あの親子を研究材料ではなく、純粋に欲しいと思った。
がさっと言う音を立てて草むらから出て行くと
びっくりして逃げ出そうとする親子に声をかける…
研究所に着いた私の後ろにはあの親子がぴったりと付き従っていた。
逃げようとする親子に害を及ぼさないと約束し、
私の今行っている研究の内容と、今までのことを観察していたことを伝えて
(さすがに怯えた表情を見せたが、約束のおかげで逃げないでいてくれた。)
協力を願いたい旨を伝えると喜んで来てくれたのだ。
家に帰ると娘はびっくりしたようだが、簡単に事情を説明して、
リーシャンを連れて行くよう言った。
道中に、親子の使える技などを見せてもらったところ、
チリーンは私、リーシャンは娘と共に研究を行うのが良いという結果になったのだ。
そのことを親子に伝えると最初は離れ離れになるのを嫌がったが、
いつでも会えることを知ると、経験を積むためにも離れることを快諾した。
名前も本人たちの希望で、チリーンは風鈴、リーシャンは鈴とつけた。
すでに仲良くなって一緒に遊んでいる互いの子供をみて、
顔を見合わせる私と風鈴だが、その顔を見て目を擦った。
何故か妻の顔が重なって見えたのだ。
私が欲しいと思ったのはそのこともあったからかもしれない。