これは研究所シリーズの父の6と7の間にあたる番外編とも言えます。


パパは山奥のポケモン研究所で実験してるの。山奥すぎてお店も何にも無いのよ
。何にもすることが無くってつまんない〜。でも、パパは楽しそうだからいっか。たまに町にも行けるしね。

薬品実験棟では最年少責任者っていう人が現れた話しで持ちきりだったわ。
仕事熱心らしいんだけどちょっと残酷すぎるんだって。自分たちも同じようなことしてるくせに笑っちゃうわ。

でも、噂されてるのが私のパパなのはちょっと気分が良いかな。
歩ってると周りの人が声をかけてくれたり、お菓子をくれたりするの。

パパは私がちっちゃい頃から科学の実験を色々して見せてくれた。
実際にお仕事してるところは見せてくれないけど、
ポケモンに毒を使ってどんな風になるのか試してるって言ってた。
どうやって毒を治してあげるのって聞いたら解毒剤って言うのを使うんだよって言ってたのよね。
…そうだっ!お手伝いしてあげよ。今は
Mタウンって言う所にお出かけしてるから怒られないしね。

パパの実験室に戻って解毒剤の作り方が書いてある本を探す。
あった!蛇さんの絵が描いてあって漢字があんまり無いページがあった。
これは…てりあか?私はひらがなとちょっとなら漢字も読めるから作れるかも。
専門用語も少し読めるんだよ。パパに色々教えてもらったもん。よーし、頑張るぞー!

お洋服が汚れたときのためにお着替えを持って移動開始!
実験室で作ってると帰ってきたときにばれちゃうから、
昨日の散歩の時に見つけた「木工室」って書いてあったところに行くの。
ここなら中にも近くにも人がいないからばれないよね。

着いてすぐハブネークちゃんを呼び出す。私が春に捕まえたのよ。すごいでしょ。
まだちっちゃい
(って言っても体はあたしよりもおっきいけどね。)女の子でお利口さんで可愛いの!
一番適した子を捕まえられてたなんて私ってラッキー!

描いてある絵の通りにハブネークちゃんを台の上に仰向けに横たわらせて
首と尻尾を近くにあった紐でしっかり固定する。
思いっきり引っ張ったからちょっと苦しそうだったけど麻酔がないから痛いのは我慢してもらわなくっちゃね。
不安そうに見上げてきたけど大丈夫って笑顔で頷いてあげたら安心して目を閉じた。
猿轡をかませるときにはさすがに抵抗したからお腹を金槌で叩いたら
ぐえってお口をあけて大人しくなってくれた。やっぱり良い子ね。
…ちょっと青黒くなっちゃたけどま、いっか。

まずは尻尾を切り落とすのね。硬くて大変だからのこぎり使っちゃおうっと。
がりがりと鱗を剥ぐ。じたばた動かすから尻尾の先を台に釘で打ちつけちゃった。
打ち付けるたびに頭を振ってぎゅぅっぎゅぅって言っててすごく痛そうだったけど
動かすのが悪いんだよって言ったら我慢してた。
台にめり込むくらいしっかり打ち込んだら尻尾の先が割れて中から血と肉が飛び出しちゃった。
肉を切るときにはむにゅむにゅしててずれちゃうし、血がいっぱい出て刃が滑っちゃうし、
脂がべとべとついて切れなくなっちゃうから何度も何度も拭き取らなきゃいけなくてすっごく大変だった。
骨はごりごりって音はするけどなかなか切れないから思いっきり引いたらがぎぃっって音がして折れちゃった。
でもなかなか綺麗に切れたから満足満足。記念に取っておこうっと。

次はお腹を開いて空っぽにして洗うっと。メスがないからカッターで切ることにするわ。
お腹はやわらかくってちょっと冷たくってすべすべしてる。
お腹の真ん中へんにカッターを差すとぷすっと入ってつつーって切れた。気持ち良い〜。
ハブネークちゃんは痛そうに体をびくびくさせて涙を流すから
あんまり痛くないようにゆっくりゆっくり切ってあげたの。
刃が進むたびに尻尾の残った部分をぴくぴくさせてた。
尻尾があった辺りまでしっかり切り終えるころには白目をむいちゃってたわ。可哀相に…

お腹の中には血と一緒にピンク色の綺麗な内臓とちょっと黒くなった内臓がいっぱい詰まってた。
黒っぽくなってる腸のはじっこを持って引っ張ったらびろびろびろ〜って
全部つながって出てきちゃってびっくり!
ハブネークちゃんはぐうぅー!って叫んでたから残りはそ〜っととってあげた。
お腹の中が空っぽになるとハブネークちゃんは涙を流してたから
布で拭いてあげてたら間違えておめめの中に指を突っ込んじゃって真っ赤な涙が出てきちゃったの。
一生懸命ごめんなさいしたから許してくれたかな?

綺麗なお水で何回も洗う。
ハブネークちゃんがこっちを睨んでたから怖くなって残りのおめめはカッターで周りごと切り取っちゃった。
周りのをとってお水で洗って内蔵の上にちょこんと置いておいた。これでもう睨まないね。
ほんとは見えてなかったのかもしれないけど…どっちにしてももう見えないから気にしない。

次はぁ…えっ…頭を落とす…可哀相だけど仕方ないよね…
何度も何度もごめんなさいって言いながらのこぎりを引く。
猿轡が外れちゃってぐえぇぇとかぐぎゃぁぁとかって普段はあげないような叫び声をあげてた。
途中まで切った所でぷにぷにした管みたいなのが出てきたから
カッターで切込みを入れるとそこからひゅぅひゅぅと風が吹いてきてハブネークちゃんも喋らなくなっちゃった。
笛みたいな音がするからそれを聞いて眠くなっちゃったのかな?
私も聞き入ってたらだんだん音がしなくなっちゃったの。残念に思ってまた切るのを再開する。
また別の細い管があってそれを切ったら血が噴水みたいにいっぱいいっぱい出てきちゃったの。
顔に掛かるから慌てて残りも切っちゃった。頭と尻尾は大切にしておくね、ハブネークちゃん…

お腹の真ん中辺りから首の所まで切り開くと肋骨とそれに守られた肺と心臓が出てきた。
心臓はまだ動いていてびっくりしちゃった。触るたびにびくんって動いて血が吹き出るの。
肺はふにふにしてて気持ちよかった。肋骨はお腹の横の辺りでのこぎりで全部切っちゃった。
肺と心臓は取り出してさっきの内臓と一緒にしておく。ホルマリン漬けにしてもらうんだ。
頭と尻尾と一緒に大切にとっておくの。残りの骨を一気に引っ張って外しちゃってからよーくお水で洗う。

お洋服が真っ赤になっちゃったから用意しておいたお洋服に着替える。頭もしっかりお水で流しておいたよ。
真っ赤になっちゃったお洋服ははじっこに丸めて置いておいた。ちょっと気に入ってたんだけどしょうがないか。

周りも血だまりが出来ちゃって、お化け屋敷みたいになっちゃった。
雑巾で拭いておいたけど床に跡がついて消えなくなっちゃった。
絵の具で茶色く塗っておいたからばれないかな?

内臓と頭と尻尾は近くに置いてあったおっきな壷に入れて蓋をしてお洋服の近くに置いておいた。
その上に布を被せちゃえばもう分からない。私ってあったま良い〜!

中身が無くなったハブネークちゃんと骨を木の枝と塩と一緒に別の壷に入れてしっかり蓋をすると
外まで転がして運ぶ。お料理をしたいのって言ったら近くにいたお兄さんがかまどを作るのを手伝ってくれた。
嬉しかったけど壷の中身を覗こうとするのは困っちゃった。
その人に近くの林の中で見せてあげるって言って壷に上にかがみこんでるときに、
かまどを作るときに使ったおっきな石で頭を叩いたら変な声を出して倒れちゃった。
よく読む漫画のようにはいかなくておっきなたんこぶじゃなく、
ゼリーみたいなピンク色の変なものと血を頭からでろでろと出してたけど、
漫画だとしばらくしたら起きるから大丈夫かなって思って放っておいた。

お兄さんが作ってくれたかまどの上に頑張って壷をのせて火をつける。
周りからは見えづらい場所だからちょっと放っておいて「木工室」に戻る。
おきっぱなしだったもう一つの壷をパパの実験室にあるおっきな冷蔵庫の奥のほうに隠してしまって、
血が固まって茶色っぽくなっちゃったお洋服は洗濯機の中に放り込んでおいた。
パパはまだ帰ってきてなかったからばれてない。後で驚かすんだ。

かまどの所に戻って蓋を開けると丁度良くぐつぐつ言ってたから
骨と枝と肉から出てきた変な色をした汁とかを捨ててからまた壷に蓋をしてごろごろ転がす。
今度向かうのは「食堂」。

すりこぎを借りてハブネークちゃんの体だったものをぐちゃぐちゃと潰す。
血はもう出なかったけど、かわりに肉汁が押しつぶすたびに染み出した。

「食堂」でパンの元を貰って肉と一緒にしっかりこねる。
これをちっちゃくちぎって丸めればてりあかの出来上がり!

パパの実験室でてりあかの素を丸めてたらパパが帰ってきた。
パパに教えてあげたらすっごくびっくりしてたけどいいこいいこしてくれたの。
でもパパが、今はそのお薬使われてないんだよって言ったのには一番びっくりしちゃった。
泣きそうになったけどよく頑張ったねって抱っこしてくれたから我慢した。

ハブネークちゃんの頭と尻尾は標本にして、内蔵とかはホルマリン漬けにしてもらった。
私の部屋に飾っておくの。良いでしょ。目玉は煮込んだ後周りの白いぷるぷるした部分を削いで、
中から出てきた硬い真珠みたいなものに穴を開けて上を縛るゴムにつけたの。これでいつも一緒にいられるよ。

お兄さんの頭を叩いちゃったことを話すとにやっと笑ってパパが何とかしてあげるって言ってた。
パパはやっぱり頼もしい。

パパはお兄さんの様子を見てくるって言って出て行っちゃった。
「上司」っていう人のところに連れて行くって言ってた。
二人なら寂しくないだろうって。何のことだろう?

今夜はこんなにすごい自慢のパパと一緒に寝るの。
私は将来パパみたいになるって言ったら嬉しそうに絶対なれるよ、今度実験を見せてあげるって言ってくれた。
私は楽しみにしながら眠りについた。またお手伝いしてあげよう!

この子はとても良い研究員になるな、私の教育の賜物だとつぶやいたのを知らずに
すやすや眠る寝顔はとても幸せそうだった。