先ほどの弱そうな態度とは打って変わって不敵な笑みを浮かべる風鈴に、
ミミロップは怪訝そうに首をかしげる。
その様子を目の端に入れつつ私も移動し、実験室の方に足を踏み入れた。
扉が開き、私の姿が目に入った瞬間逃げ出そうとするミミロップを
面白く思いながら大笑いしている風鈴の頭を撫でてやる。
グルだったのかと、憎憎しげにこちらを睨み、腹を庇う様に座り込んでいる。
出来る限り優しげな口調で先ほどの餌が美味かったかと尋ねると、
警戒しつつも不思議そうにこくりと頷いた。
ここで、先ほどの餌の材料を明かしてやる。
入る際に運び込んでおいた大皿の上にかぶせてある蓋を外した。
そこには苦悶の表情が辛うじて判別できるかというほど焼け焦げたミミロップの夫が乗っていた。
しかし、あるのは胴体と頭のみだ。
実はダンスの途中途中に「サイコウェーブ」でじわじわと耳と四肢を切断していったのだ。
ひどく耳障りな叫び声をあげつつも丸焼きにはなるまいと、
飛びそうな意識を無理やり繋ぎとめて飛び跳ね続けたのだ。
達磨状態になって跳ねる体力も切れたころ、自ら舌を噛み切り自殺した。
その心意気に打たれてポケモンフードとして妻の体内に入ることで再会させてやったのだ。
切断されていい具合に焼けた耳と四肢をミキサーでミンチ状に、
それで作った肉団子をこんがり焼き上げ、ポケモンフードに混ぜたのだ。
それを見てミミロップは泣き崩れ、
旦那を食べてしまったという事実に真っ青になりながら
嫌悪感から吐き出そうとする。
しかし、風鈴がそうさせない。
「サイコキネシス」で胃と食道の境目辺りを窄まらせ、封鎖したのだ。
吐きたくても吐けない感覚に、苦しそうな呻き声を上げながらただただ泣き続ける。
いい加減うるさくなってきたので、風鈴に命じ、無理やり消化を早めさせた。
しっかり消化されていない食物が胃の中でかき混ぜられ、
腸の内壁にへばりつき、吸収されるまでずるずると進む。
小腸の出口まで来たかと思うと、念のためともう一度入り口までずるーっと引っ張られる。
そんなことを2.3度繰り返され、気が狂いそうになっているミミロップの様子に
もう少し続けたいと思いつつもやめさせる。
ぐったりと倒れ伏してしまったミミロップを置き去りにして
風鈴を見張りにつけて戻ることにした。