研究室に戻ると丁度ミミロップが起き上がろうとしているところだった。
無理やりそれを仰向けに固定し、口を開けさせた。
そこに、粘性の強い紫色をした毒々しい液体を流し込ませる。
ニコチンはほんの少ししか溶けておらず、
他は片栗粉と食紅を溶かしたただの水なのだが、
その見た目から完全に毒だと思い込み吐き出そうとするが、
呼吸をする間もないほどに延々と飲み込ませ続ける。
咳き込み、鼻から逆流させ、腹が臨月以上に膨れ上がったところで気絶した。
白目をむき、鼻と口から紫色のゼリーみたいなものを溢れさせる形相は
普段の可愛らしさからはかけ離れた醜悪な顔だった。
いきなり、見えない球体で押しつぶされるように腹がへこんだかと思うと、
鼻と口から盛大に紫色のゼリーを吹き出し、覚醒した。
風鈴が寝てるんじゃないと言うように両耳のみに「サイコキネシス」をかけて
全身を浮かび上がらせる。もちろん体重は耳の付け根にすべてかかる。
苦しそうに咳き込むミミロップの表情をうっとりしたように見つめ、
いきなり床に叩きつける風鈴の様子は普段とはまた違った魅力があった。
床の上でひくん…ひくんと小さく動くだけで完全に伸びたミミロップを
薄く笑う顔の中の冷たい目で見下し、
透明な音を響かせながら天井近くまで浮かび上がり、
そこに留まる。最前列での観察をするつもりのようだ。
ミミロップのほうに目を移すと、少しは体力が回復したのか
のろのろと体を起こし、不安そうに辺りを見回す。
とっさに隠れた風鈴には気づかなかったのか軽く目を閉じ、
鼻と口元を拭って仮眠に入ろうとしていた。
ようやく、ニコチンが効き始めたようだ。
仮眠に入ろうとしていたミミロップの呼吸が深くゆっくりしたものから
浅く早いものへと変化していく。
自分でも気づいたミミロップは閉じかけていた目を開き、
少し慌てたように目を泳がせる。(呼吸促進)
どくん、どくんと脈打つ心臓から押し出される血液は
強い血圧で押し出され、細かい血管では破れて内出血を起こしているものもある。
青黒く染まった皮膚をさらに青い顔で見つめながら
焦り、うろたえてしまっている。(血圧上昇)