ぴきっと音でもしそうなほどに脳波に異常が巻き起こり、

激しい痛みにとっさに頭と腹を抱えこむ。

ちゃんと腹も抱え込むところはさすが母親といったところか。

呻き声を上げながらも動き回って胎児に刺激を与えないようにもしている。(頭痛)

しかし、腹を押さえていた手を撫で擦るようにしたのは

子供のためだけではないようだ。脂汗をだらだらと流し、

ぎゅっと閉じた瞼や食いしばった歯からは必死で耐えている様子が伺える。

しかし、我慢していたこともあって酷く大きな腹の鳴る音が聞こえた。(腹痛)

羞恥に顔を真っ赤にしながらも再び襲ってきた腹痛に耐える。

今度はピンポイントで腸に来ているらしく、再び我慢をし始める。

溜まっていたガスの抜ける音が響き、羞恥を感じる間もなく、

漏れ出たガスと共に旦那の成れの果てが流れ出てきてしまった。(下痢)

激しい羞恥のために溢れ出る涙を拭う間もなく胃の方に痛みが上ってくる。

風鈴はそれを押さえ込むが、込みあがる吐き気が限界まで来たところで

ぱっと解除し、再び止める。何度も繰り返すうちに意識が朦朧として

半分気絶しつつ少しずつ出てきている吐瀉物を口の端から垂らしている。(嘔吐)

風鈴の飽きによってようやく胃の中を空っぽに出来たミミロップをさらなる激痛が襲う。

今までとは比べ物にならないほどの痛みに体を丸めて耐えようとするが、

足の間からは真紅の鮮血が溢れ、床を紅く染めていく。

腹はびくん、びくんと激しく脈打ち、胎児が暴れているのが良く分かる。(子宮出血)

とうとう未熟な胎児の頭が出始めてしまった。しかし母親の落ち着きというものだろうか。

ミミロップは生物の本能だけで産み落とそうとしていた。苦しそうに肩で息をし、

汚物の上に産み落とした子供は薄い膜に包まれ、辛うじて生きてはいるものの、

明らかに産まれて良い状態ではなかった。(流産)

と、いきなり手の届かない所まで浮かび上がる我が子。

すぐに必死で手を伸ばすが、紙一重の差で届かず、その手は空しく宙をかく。

子供を追う瞳は急激に収縮を起こし、伸ばす手も見当違いの方向になってしまっている。

目を擦り、瞬きを繰り返すが暗く狭まる視界は元に戻らなかった。(瞳孔縮小)

二つに増え、三つに増えて揺れ動く我が子の幻影。

風鈴の技では無いのだが、勘違いをして虚空を睨みつける。

痛みで萎えた足で必死に立ち上がり、ようやく我が子を捕まえるが、

その小さな体は腕の中で急激に冷たくなっていく。(重視)