今回はペルシアンを連れてきた。ガラスケースの中にいるのが嫌なようで壁面を爪で引っかく嫌な音が響く。
うるさいので麻酔弾を打ち込み眠らせ、ペンチを使って爪を引き抜く。血がぼたぼたと垂れたがかまわない。
全て引き抜き傷口を焼いておく。これなら出血多量で死ぬことは無い。
手足の先は醜くひしゃげ、毛は燃え尽き、皮膚は引き攣れを起こしているが死なないなら問題は無い。

さて、薬の用意を始めよう。今回は青酸を極々微量溶かし込んだ水を与え続けることにする。
青酸は常温では無色の気体
(融点-13.4℃、沸点25.6)で弱酸性を示し、青い炎を上げて燃える。
水やアルコールに良く溶け、即効性のあるとんでもない猛毒である。

ペルシアンは痛みに目覚めると自分の手足を見て涙を流し、こんな風にした張本人の私をきっと睨みつけた。
私のほうに来ようとするが立ち上がると同時に激痛が走るため、
ぎりぎりと歯軋りをしながら先ほどとは違う悔し涙を流していた。

青酸を混ぜた水を無理やり飲ませる。
無色透明、無味無臭なので普通の水と変わらないため何故水を飲ませるのかと不思議そうにしていたが、
次の瞬間には苦しそうな顔に変わった。

頭をぼろぼろの前足で抱え込みのた打ち回る。
転がったときにぶつけたのか後ろ足から血が流れ出していたがもうその程度は気にならないらしい。
(頭痛)

頭をぐらぐらさせているのは転がったことだけが原因ではない。
しばしば首から力が抜け、頭を床にごつ、ごつ、とぶつけている。
(めまい)

脈をとるととても早く、心臓が破裂するのではと思うほどだった。
胸を掻き毟るようにしているのはそのためだろう。
呼吸は荒く、舌をたらし、はっはっと犬のように息をしている。
(胸苦しさ、動悸、瀕呼吸)

喉を掻き毟り苦しそうにしている。顔がうっすら青みがかってきたことから呼吸が出来なくなっているようだ。
たまに深く呼吸をしているが、脈は徐々に遅くなってきているのでもう持たないだろう。
(呼吸困難、呼吸不整)

体をがくがくとさせ、手足の震えは止まらなくなっている。(痙攣)

まともに四肢を動かすこともままならず
(末端部の麻痺)遂に意識を手放した。(意識不明)

呼吸はまったく行なってはいないが(呼吸停止)目に針を刺すとびくんと動いたのでまだ生きて入るだろう。

少し経ってから反対側の目に針を刺すが動かなくなったので死んだかと思ったが
脈を取るとほんの少しだがまだあった。
(全身の麻痺)

脈はしばしば止まるようになり、遂には指に伝わる小さな振動がなくなった。(拍動停止)

やはり即死毒は面白くない。だがすぐ終わりデータが取れるので仕方が無い。
色々なデータを取り提供するのが私の役目なのだから。