「あれ?釘が外れちゃいそうだ。ちゃんと打っておかなきゃね。」

金槌を振り上げ四肢の付け根に振り下ろす。

「なんだか手元が狂っちゃうなぁ。」

どす黒くなるほど打ち付けると皮膚が破れ、

打つたびに肉と血を撒き散らす。

「ぶり゛い゛ぃ゛!ぶヴぅ゛ぅ゛」

何度も打ち付けるととうとう手足と頭の房は取れてしまった。

傷口からは赤黒い肉が溢れ出る血の隙間から見え隠れしている。

「綺麗な断面だね。目の色も赤くなったことだし

折角だから色違いのプリンにしてあげようか。ねぇ皆?」

振り返りながらそう言うと

にやにやしながら様子を見ていた生徒たちの手には

すでにカッターや鋏などが握られていた。

「ぷり…?ぷりぃぃ」

泣きすぎて真っ赤に充血した目を生徒たちの方に向け怯えて転がろうとする。

固定するものがなくなった体は真ん丸でボールのようになり非常に転がりやすい。

しかしプリンは一回転した時点で後悔した。

「ぷりいいいいいいぃぃぃぃ」

撒き散らされた塩が傷口に染みこみ激痛が体を震わせる。

反射的に飛んで逃げようと体を膨らますがそれさえも痛みを引き起こす。

傷口周辺の皮膚が引き伸ばされてびりびりとした痛みが体中を駆け巡る。

痛みに耐えかねて空気を吐き出すと浮力を失った体は無様に床に落下した。

「どこに行くんだよ。俺たちと遊ぼうぜ。」

不良生徒がボールと化したプリンの体を持ち上げ塩が撒かれた机の上に置き、

ぱちんと音を立てて折りたたみ式のナイフの刃を出す。

「たっぷり楽しみましょうね。」

委員長もぞっとするような微笑を浮かべてカッターの刃をちきちきと出す。

「ぷ…ぷりぃ…」

「うるさいからこれでも食べていてよ。」

女生徒はそう言い放ち腕や足を口の中に詰め込み、

漏れないようにと裁縫用具を取り出し口を縫い合わせていった。

プリンは吐き出そうと必死だが私たちが口を押さえているので無理だ。

ぷつっぷつっと唇に針が差し込まれるたびに体を震わせる。

「出来たー♪」

数分後には完成し、プリンは口を聞くことができなくなった。

「瞼も縫い合わせちゃおうか?」

「同じにするとつまらないから切っちゃおうよ。」

鋏を持った女生徒は怯えるプリンを押さえつけると

プリンの瞼を持ち上げ端からゆっくりと切っていった。

しょき…じょき…と肉を切るいやな音が響き瞼はゆっくりと体から離れていった。

両目があらわになるが瞼の付け根から流れ出した血で眼球が真っ赤に染まっていた。

私は伸びをしながら短くなった煙草の火を消して声をかけた。

「さて、じゃあ剥がしますか。

しばらく前の時間にピカチュウを使ってお手本を見せたよね。

今回は球だからリンゴの皮を剥く感じでいいよ。」

「じゃあ私に任せて。」

先ほど口を縫い合わせた女生徒が可愛らしいケースに包まれた果物ナイフを取り出した。

頭頂部のあたりに果物ナイフの刃が添えられる。

プリンにとってひやりとした感触は気持ち良いだろうが

これから襲い来る痛みに対する恐怖が勝り、脂汗を流す。

しかしどんなに恐怖を感じても叫び声をあげられない。目を瞑ることも出来ない。

唯一の救いは血と涙で視界がぼやけていることくらいだろう。