次のページには小さなピンクの花柄の手作り封筒が貼り付けられ、

開いてみると中には小型のディスクが入っていた。

早速自室のコンピューターに差込み再生することにした。

画面の中には娘に抱えられたパチリスが映った。

多少皮膚がぼこぼこしていて縫い目が痛々しいが

「日記」に書いてあるほどの大手術の跡とは思えないほどだ。

さすが私の…おっと、また話が過ぎてしまうところだった。

娘はパチリスを部屋の真ん中に横たえ

周りに色々な種類の刃物を並べ、傷薬を数十本周りに散らばせる。

簡単な輸血キットも用意してあり、いざとなったら自分で行なえるようになっている。

パチリスの体の前後左右から撮られたレントゲン写真数枚も並べて置いた。

娘はその出来映えに満足そうに頷くと

パチリスの鼻先にハンカチをあてがうと、すぐに画面から消えた。

 

「ぱぁ…ぱちぃ…?」

クロロホルムから覚め、くらくらする頭を押さえながら

むくりと起き上がり不思議そうに周りを見回す。

まだ現状が把握できていないパチリスの頭上から声が響いた。

『眼が覚めた?パチリス。取り合えずあなたの今の状況を教えるね。

体を見てもらえば分かると思うけどいっぱい傷跡があるでしょ?

そこにはなんと、「爆弾」が埋め込まれていまーす!

取り出し方は簡単。周りに置いてある刃物で傷口を開いて取り出すだけ。

心配しなくても傷薬で開いちゃった傷は癒せるし、

レントゲンを見ればどこに埋めてあるか分かるからね。

ただし、ある程度時間が経つと順に爆発する、

時限式の爆弾だからくれぐれも迅速にね。

どのくらいの時間が経つとどこが爆発するとかっていうのは

教えられないからとにかく早く取り出すことをお勧めするよ。

あ、でも10秒前になったらカウントを始めてあげる。』

その言葉を呆然とした表情で聞いていたパチリスは

涙を流したり頭を抱え込んだりしていたが

ふと我に返った様子で不敵な笑みを漏らした。

「ぱちぱっちぃ」

『あれ?信じてないのかな?まぁいいや。

もう少しで嫌でも信じざるをえなくなるから。10.9.8.7…』

「ぱちっ!?…ぱぁちぱちぃ」

カウントを聞いた瞬間パチリスの顔に恐怖の影が走るが

すぐに多少引きつってはいるが不敵な笑みを作り直す。

『意地っ張りだなぁ…3.2.1.ぜろぉ!』

爆発音はぽすっという大した音ではなかったのだが

「ぱちぃっ!?」

爆発音と共に額の皮膚が弾け跳び人間の親指ほどの大きさのえぐれが生じていた。

額から血をだらだらと流すパチリスはぼろぼろと涙を流していた。