「ぷぁ…ぱちぃ……」

のろのろと移動し、腕に針を突き刺し、スイッチを入れる。

適当に刺したらしく皮膚が盛り上がり、慌てて抜き、もう一度刺す。

何度目かの後、ようやくしっかり入ったらしく、ふぅと一息ついている。

ぶすぶすと針を抜き差しされた皮膚は若干赤黒く、麻薬中毒者のようになっているが、

それほど痛みを感じていないようだ。痛みに対して若干麻痺してきているらしい。

それでもさすがに傷薬を使うときには躊躇する。

傷を塞がないと輸血された血も大した意味を成さないことは分かって入るようだが、

先ほど被ったときの思い出がトラウマとなっているようだ。

目をぎゅっと閉じ、歯を食いしばり、一気に足先の大穴の中に突っ込んだ。

「ぱちゃあああああぁぁぁぁ!!!!!」

目を限界まで見開いたため、目の縁から流血して血の涙を流しながら、

喉が潰れるほどの叫び声を上げ続けるも薬液を注入する作業は止めない。

「…ちゃぁ…」

脂汗をだらだら流しながら、突っ込んでいた薬の容器を抜こうとするも抜けない。

凄まじい勢いで傷が塞がりかけてきたために容器に癒着してしまったようだ。

疲れたような表情を見せつつも無理やり引き抜く。

その際に皮膚が引っ張られ、肉が裂け、新たな傷が出来るが、

諦めたのか、たいした痛みではないのかぴくりと動くだけでほとんど無反応だ。

輸血パックを握り締めて輸血速度を早めつつ、レントゲン写真を確認している。

娘はその姿につまらなそうな声をあげる。

『むぅ、そんなに余裕そうなら教えてあげないよ?

次の爆発が後一分後だってこと。

…あ、言っちゃった。えへへ』

慌てて輸血の終わったパックとレントゲン写真を投げ捨て、

腕に刺さった針が皮膚を引きつらせながら抜けるのも無視して、

刃物の中に手を突っ込んだ。

 

その後は下半身の皮膚の表層部分を爆破されたり、取り出したりと

ぎりぎりの時点での爆発が何度かあり、

赤のグラデーションで体を染めながら内臓の方に移っていった。