今度は私の番ね。次はぁ…両手首!ぽちっと。

さっき手の甲側に畳まれた指が、手のひら側にぴったりとくっつけられた。

ごぎんっと骨が外れる音がして、少し遅れてぶつんっと指がもげる音がする。

それが済むと今度は手首が後ろ側に曲がっていく。

90度くらいまでは肩で息をして怯えた表情のドクロッグちゃんだったけど、

それを超えると痛みに顔を顰めて、呼吸も浅く、荒くなる。

ばぎいっとすごい音がして、手首から飛び出た骨から血が滴り落ちていく。

また泡を吹いて気絶しそうになるけど、強すぎる痛みのせいで、

意識が無くなっては起き無くなっては起きを繰り返してる。
 

さすがに、ドクロッグちゃんの顔から血の気が失せて白っぽくなってきちゃった。

リモコンを置いて立ち上がって大きく伸びをする。

ようやく終わりかとほっとした顔をするドクロッグちゃんを横目で見ながら、

研究室から必要なものを台車の上に載せて布をかけて持ってくる。

運ばれてきたものを小刻みに震えながらぼんやりと眺めるドクロッグちゃん。

多分、血が無くなりすぎて寒いし、頭はちゃんと働かないしってところかな。

さすがに布を取ると驚きと恐怖で目が見開かれたけど。

持ってきたのは、炭火が入った容器に突っ込まれた焼き鏝と輸血セット。

ミトンをはめて、容器ごとドクロッグちゃんの近くに運ぶと、

こっちを怯えた目で見つめてきたから、可愛い可愛いと頭をいいこいいこしてあげた。

大量の血が溢れ出す両手首に真っ赤に焼けた鏝を取り出して、

がちがちと歯を鳴らすドクロッグちゃんを見ながら触れる直前まで近づける。

ちりちりとちっちゃい音を立てながら皮膚の端っこが焦げて不思議な匂いがする。

鈴ちゃんは鼻を押さえてるけど、私は嫌いじゃないなとか思いながら、

力を込めて、傷口に思いっきり焼き鏝を押し付けた。

ぶじゅううぅぅぅと煙を上げながら焦げていく傷口からは血が流れなくなるけど、

ドクロッグちゃんは白目を剥いて舌を垂らして気絶しちゃった。

でも、反対側の手首も焼くとすぐに飛び起きたよ。

焼き終えた傷口は、出血は止まったけど、ケロイド状になってしゅぅぅって煙を上げてる。

さて、傷も塞いだことだし、輸血しようかと思うんだけど、

これからまた動かすからねぇ…動かない所で見つけやすい静脈はと…

あ、首があるじゃん。血液パックから延びた管の先の太めの針をぷすっと刺す。

浮き上がってた青っぽい奴に刺すんだけど、むにゅんと動いてなかなか刺さらない。

何度か刺しなおしたら上手く入ったけど、刺し間違えの穴から血がちょっと垂れてた。
 

ドクロッグちゃんを見ながら、鈴ちゃんとのおやつタ〜イム。

輸血が終わるまで、美味しいお菓子を鈴ちゃんと半分こして食べる。

ドクロッグちゃんは寝ちゃってるからその分は無いんだ。

ちゃんと起きてたらあげたのにねー。