今回はプラスルとマイナンを連れてきた。

この二匹は部屋に放つと同時に、仲良く遊び始めた。

ぷらぷらまいまいとうるさく騒ぎ立てながら部屋中を走り回っている。

それを尻目に部屋の中央辺りまで白い布の掛かったワゴンを運び

その中から赤と青の餌入れを取り出して置いた。

プラスルとマイナンは近寄っては来たものの中を見て戸惑っているようだった。

餌入れは飼育棟でも使っていたものだったが、

中に入っているのが綺麗な花では戸惑うのも無理は無い。

しかし、それに二匹の好きな甘い蜂蜜を垂らしてやると目を輝かして飛びついた。

鼠は本来雑食なので食べられないことは無いだろうし、

蜂蜜は一週間に一度しか食べられないご馳走だったためかと思うが。

…もしや、元々食い意地が張っていて食べて良いと許しが出るまで

待っていたら好物の蜂蜜がかけられて我慢できずに食べてしまっただけか…?

今二匹が夢中になって食べている花は紫陽花と鈴蘭だ。

二匹の体色にあわせて紫陽花はピンク色のものを、

鈴蘭は(本来白だが)比較的青っぽいものを選んだ。

二つとも綺麗な観賞用の花として花屋でも売られているが、

紫陽花には青酸配糖体が、鈴蘭にはコンバラトキシン、コンバラマリンが含まれている。

ときおり家畜が食べて中毒を起こすことがあるため子供が口にしないよう注意が必要だ。

消化するまである程度時間が掛かるのでその間に処置すれば軽度ですむ。

今回は他にも色々やりたいことがあるため消化を遅らせるために

事前に彼らの胃腸に麻酔を打っておいた。

二匹同時にぺろりと平らげおかわりを要求してくる。

今風の言葉は嫌いなのだが言う奴の気持ちが分かった気がする…ウザイ。

普通に餌入れを持ってくるだけなら可愛いものだが、

用意している間足にまとわりつき騒いでいるのには閉口する。

三回ほどその調子でおかわりを要求されてさすがにイラつき、

二匹を縛り付け頭から蜂蜜を大量にかけてやった。

嫌がるのを無視して顔中に塗りたくってやるとべたべたで目も開かなくなった。

耳の先を互いの口元に持っていってやると食べ物だと思い齧りついた。

いきなりの激痛に叫び、口を離そうとするがこちらがそれを許さない。

抵抗をしようと体を捩じらせるが紐が体に食い込み痛みに唸るだけだ。

娘を呼び出し二人がかりで互いの耳を口に入れさせ無理やり噛ませる。

娘は嬉々として手伝ってくれた。小さな体中べたべたにしながら。