手早く手術キットを取り出すと腕の色の変わり目にそって切る。

表皮、真皮、脂肪、筋肉と綺麗な層を切り進め、

メスが骨に到達すると骨にそってぐるりと一周させる。

切れ目に手をかけゆっくりと広げると骨が見える。

そうしたら鋸を使い骨を切り腕を落とすという作業を2セット行った。

飽きてきたためもう2セットは鋸のみで行った。

脂で切れ味が悪くなるが代わりの刃はいくらでもある。

今回は腕が細かったため刃の交換は一度で済んだ。

残るは尻尾だ。普通に切り落としてもつまらないので

十字の形をしたプラスルの尻尾の上の出っ張りを切る。

マイナンの尻尾の皮膚を剥ぎ、

切り取ったプラスルの尻尾の一部をつけ縫合する。

違いの分からなくなった二匹から点滴の針を抜くと傷薬のプールに放り込んだ。

半ば切れかけた麻酔でボーっとなっていたものの、

血と水分が補給されたことで覚醒し、必死で水面まで上がってきた。

プールから上げてやり、大きめの鏡を前に置く。

それに映った物が自分だとは信じられないらしく、

しきりに先のない手を見たり頭に手をやったりしていた。

遂に混乱したらしく鏡に体当たりをし、倒して割ってしまった。

顔を見合わせて現実であることを確認しあうと

気が狂ってしまったのか笑い転げている。

腕を取り鎮静剤を打ってやるとようやく落ち着きを取り戻した。

呆然としている二匹に舌を噛まないようにと口にタオルを丸めたものを入れ、

丈夫な皮で出来たマスクをつけさせ、頭の後ろで鍵をかけた。

かちゃりという小さな音で我にかえるがもう遅い。

むーむー言いながら足にまとわりつく二匹を蹴り飛ばし、

鍵を片手に別室へ行き、モニターで眺めることにした。

目の前で閉じた扉を必死で叩き続けるマイナン。

マスクを外そうともがくプラスル。

カイリキーですらこじ開けられない扉を非力な鼠ポケモン一匹が開けられるはずもない。

丈夫な皮が先のない手で外せるわけもなくましてや鍵があけられるはずもない。

時計を見ると丁度4時間が経過したところだった。

上物の紅茶を一口啜り、モニターに集中する。

この先どうなるか楽しみだ…

五分ほど経つと二匹とも腹を押さえて苦しみだした。

今まで働いていなかった胃腸が動き出したため違和感を体が感じ取ったのだろう。

倒れこみ、ごろごろと転がりまわっている。

あえて病名をつけるとしたら「食べすぎ」だな。

マスクには体温や脈拍を測定、送信してくる機械を仕込んでおいた。

同時にレポートをまとめるのは至難の業だ。

二匹とも毒が回り始めたらしく相棒の方を気にかける余裕も無い。

モニターを見ながら一匹ずつレポートにまとめることにした。