ニャースの目の前に使い慣れた餌入れを置き、二尾の秋刀魚を入れておく。

まだ起きないようなので、先ほどの苛立ちも込めて力任せに額の小判を剥ぎ取る。

驚きと混乱の入り混じった鳴き声を上げ、寝ぼけつつ眼を覚ましたニャースを尻目に

小判片手にさっさと部屋を出る。

それほどしっかりはくっついていなかったらしく、額の皮が剥がれてひどく出血しているが、

血管が集まっている場所なので出血量に見合うほどの深い傷ではない。

出血の驚きと小判の喪失感と多少の痛みに戸惑っている様子で、

紅く染まった黒い耳や黄色っぽい白い顔を必死で拭うが、

それほど酷い傷ではないこともあって、額の小判は惜しいのだろうが

かさぶたが出来始めた額から餌入れに入った美味しそうな魚へと興味を移す。

周りの様子がいつもと違うことに首を傾げつつも食欲には勝てず、

独り占めできる嬉しさからか、上機嫌で平らげていく。

二尾とも食べきって満足顔で前足を舐めるニャースをモニター越しに見つめる。

先ほどの小判を娘のために磨きながら待つことにした。

30分後、ようやく異変に気が付いた。

腹痛が始まったらしく、腹を押さえてのた打ち回りだした。

胃自体が動くので、相当の痛みだろう。

声を出すことで少しでも紛らわそうと唸り声を上げ、涎を垂らす。

胃のびくびくと言う動きから吐き気が誘発されているようで、

体毛の上からでも判るほど青い顔をしてぴくぴくと動く腹をさすりながら痛みに耐えている。(胃筋肉痙攣)

我慢が出来なくなったらしく胃の内容物を戻し始めた。

こちらも胸がむかむかしてくるような声や音と共に、

消化されかけの秋刀魚の一部と胃液が出てくる。

量からするとどうやらほとんど腸へと送られたようだ。

前かがみになり、背中を丸め、痙攣しながら消化物を撒けていた。(嘔吐)

とうとう腸にまで毒素が行ったらしい。

なかなか納まるところを見せない胃の痛みと吐き気に加えて

我慢しきれない腸の痛みがニャースを襲う。

消化不良を起こした秋刀魚の残骸らしき物と軟便を吐瀉物の上に撒き散らす。

水っぽい便の噴出が終わった後にかろうじて固形を保った便がお情け程度に出る。

歯を食いしばって痙攣しつつも腹痛に耐える。(下痢)