5日目。もうこのイーブイズに取り組んでから丸々五日が過ぎている。

私としては別にかまわないが、これを続けて観るDr.Oはさぞかし疲れることだろう。

まぁ、良い…さて、気を取り直して。次はエーフィだ。

自分の立場も後先もまったく考えずに、常に高飛車に振舞う。

不機嫌そうな表情を浮かべつつ狭い部屋、餌・水の質、部屋の内装にまで

嫌悪感を示し、それでも空腹や眠気には勝てず、嫌そうに食事や睡眠を取る。

なるべく爪先立ちをして歩いている姿にはさすがにかちんときた。

奴が一番五月蠅く言うのは照明だ。自称光の化身のエーフィとしては暗すぎるらしい。

…お灸をすえなければならないな。

空腹を感じたのか、餌入れから嫌そうに餌を少しずつ食べる。

実はその餌に、ここに居ればいくらでも手に入る「ナゾのみ」を混ぜ込んである。

辛いものが好物の者でも一滴も舐めたら嘔吐し拒絶するほどに進化した「ナゾのみ」だ。

一口口に入れた瞬間に慌てて吐き出し、いつもの威厳はどこへやら、

舌をだらんと垂らし、半泣きで無様に水入れへ舌を差し入れる。

普段なら少しだけ出した舌を丸めてすくうように舐めるのだが、

今はそんな余裕は無いと、べちゃべちゃと汚らしく飲み下している。

相当辛かったらしく、皿についた小さな水滴まで一滴残らず舐め取っていた。

舐めとってくれるとは助かった。確実に致死量の毒が体内に入ったということなのだから。

その水の中に仕込まれていたのはアジンホスメチルだ。

好都合なことに、無様な様子を晒したことにのみ気が向き、

気まずそうに苦々しげな目を向けるエーフィには、これから自分に

アジンホスメチルの毒牙が襲いかかろうとしているとは夢にも思っていないらしい。

ようやく辛さが和らいだらしく、傷がついたプライドを癒すように

皿をちろちろと舐めるエーフィの口からたらたらと唾液が滴り落ちる。

不思議そうに皿に落ちた水滴と天井を見比べ、自分の口から落ちたとは認めない。

カメラの方を気にしつつ、雨漏りだというようにぎゃぁぎゃぁ騒ぐ。(唾液分泌過多)

その内滴り落ちるのが口からだけではなく体中からに変わる。

汗まみれの顔では高慢なプライドに触るのか、カメラから顔を背け、

カメラの死角である隠しカメラの前に陣取った。

必死の表情でだらしなく汗を流すエーフィの姿がアップで映っている。(発汗)

そのカメラに映るエーフィの瞳がすぅっと窄まり、照明が落ちたかのように暗くなる。

好都合とばかりに汗を振り払い、自分を映すスポットライトを点けろとばかりに

部屋の中央に躍り出る。その姿は汗にまみれ、間抜け面を披露している。

視界も狭まり、その目には自分の姿もまともに映っていないのだろう。(縮瞳)

部屋の中央で騒いでいたエーフィがいきなり体を曲げ、静かになった。

前足で頭を抱え込み、呻き始める。しかし、すぐに顔を上げる。

その眉は多少顰められているものの鼻で笑い飛ばすような表情を浮かべている。

何とも無いはずはないのだが、肥大したプライドがそうさせるのであろう。(頭痛)

脂汗を流しながらも背筋を伸ばして微笑む姿から一転して、

目を閉じ、ふらふらとよろけ、倒れそうになる体を無理やり支える。

重くぐらつく頭を前足で押さえつつも体勢を立て直し

萎えかけている足を庇うように座りなおす。(めまい)

まだプライドが崩れないと見えるが、胃を押し上げる内容物に顔を青くする。

口元を押さえ顔を顰めるがカメラから顔を背けることは忘れていない。

気づかれまいと少しずつ砂トイレの方ににじり寄る。

部屋のど真ん中でぶちまける事だけは何としても避けたいことだろう。(吐き気)