とにかく動いて逃げ道を探そうと思い立ったのか、すっと立ち上がるが、
くらっとふらついたかと思うと、すぐにぺたんと座り込んでしまった。
座る一瞬前に前足がかくんと力を失ったのが見て取れた。
小刻みに震える足をブラッキーは戸惑ったように見つめていた。(軽度の運動失調)
四肢の震えを押さえ込むために体の下に四肢を折り込み、
体を丸めて苦痛に耐え、逃れようとするブラッキーを嘔吐感が襲う。
胃が収縮し、先ほど食べた半ばまで消化された食物が食道を逆流しようとする。
口まで出掛かる消化物を無理やり飲み下し、涙目になりながら耐える。(嘔気)
ふっと眩暈がして気をとられた瞬間に、せりあがった消化物が口から溢れ出た。
一度出てしまったものはもう止められない。後から後から押し上げられる消化物。
びしゃびちゃと汚らしい音を発しながら落ちる吐瀉物に涙を流しながら反動に耐える。
全部出切っても胃を?まれるような衝撃に体を震わせ唾液と胃液を吐き出し続けた。(嘔吐)
口を開けたままで咳き込みながら口にこびりついた胃液の嫌な味を消し去ろうとする。
その口からはだらだらと唾液が流れ、嫌な味を払うことには成功したが、
今度は唾液が止まらない。最初の冷静さはどこへやら、焦って飲み下す。
すぐに我に返り、きっとカメラを見据えるが体中を苛む苦痛に顔を伏せてしまった。(唾液分泌過多)
伏せた顔から滴り落ちる水滴。それは唾液でも涙でもなく汗であった。
それに気づいたブラッキーもふるふると首を振り、汗を振り払うが、
だらだらと溢れ出てくる汗に対応しきれるはずも無く、振り回していた頭を押さえて、
蹲ってしまった。どうやら痛みと眩暈が悪化したらしい。…当然だ。(多量の発汗)
ぐるるるるうぅぅぅと大きな音がしたかと思うと腹を押さえて顔を赤くした。
その顔が赤から青、白へと変色していく。歯を食いしばって耐えていたが、
とうとうそのダムが決壊してしまった。ごろごろとなる腹をくっと押さえると、
その力の均衡が崩れ、液状の便がガスと共に噴出し、排泄が開始された。(下痢)
途切れ途切れに噴出し、流れ落ちる便と、羞恥に顔を高潮させ、悔し涙を流すブラッキー。
その表情がさらに苦痛で歪む。排泄しきった腸と先ほど空になった胃を鋭い痛みが襲う。
きりきりと締め上げられるように痛む腹はぐるぐると音を発し傍目から見ても、
びくびくと痙攣する腹部が見て取れた。その腹を抱え、丸まってしまった。(腹痛)
弱弱しく薄く開かれた瞼の奥の目は周りの闇の濃さに見開かれた。
先ほど恐怖した”ヤミ”に周囲の闇が変化を遂げてしまっているのだ。
かちかちとなる歯と恐怖の色を色濃く宿した彷徨う瞳、小刻みに震える身体。
その全てが冷静さを粉々に砕かれたブラッキーの精神状態を表していた。(縮瞳)