さて、お次はリーフィアだ。こいつの餌と水にはサンダースと同じメチルジメトンを、
ブラッキー同様少量ずつ混入してある。しかし、暴れまわるため消費カロリーも汗も多いのだろう。
頻繁に、量も多めに摂取していた。そのため、ブラッキーより大量な毒素が取り込まれたようだ。
性格も考慮して、当初の予定より少なめにしておいたのが功を奏した。
そうでなければ多量に摂取しすぎて、サンダースと同じ末路を辿ることになっていただろう。
最初は元気いっぱいに跳ね回り、新しい部屋やカメラにも興味津々だったが、
その内、ブラッキー同様の症状に悩まされるようになってきた。
完全に元気を無くし、ぐったりとしているその目には光は宿らず、
迫り来る恐怖にも精神が麻痺して慣れてしまったようだ。(軽度の諸症状)
下痢などにも躊躇する様子を見せなかったリーフィアだが、
暴れまわることが出来ないことに心底落胆している。そこにさらに追い討ちがかけられた。
舌がぴくぴくと震えだした。舌を垂らし、脱力しきった目で不思議そうに見ていると、
四肢がぶるぶると痙攣しだしたのだ。疲れきったリーフィアはどうしようもなく戸惑っているしかなかった。(筋繊維性攣縮)
震えだした四肢を抑えることもできず、全身の苦痛があるため、起き上がることもできない。
それでも、立ち上がり、水分を取ろうと歩き出す。しかし、それさえ不可能だった。
他の症状があるにしても、ふらつき具合が尋常ではないものになっていた。
転がりまわったために、汚物に塗れた体がどうと倒れ、動かなくなった。(歩行困難)
最初の映像では名前と同じような鳴き声をあげていたが、
今では獰猛な獣の唸り声にしか聞こえないような意味を成さない声をあげ続ける。
だらりと垂れ下がった舌は床を舐め、泡と唾液と胃液、少量の吐瀉物の混じったものを吐き、
喉の奥から水音混じりの唸り声を搾り出し、必死でなそうとする言葉は霧散した。(言語障害)
掠れた声を張り上げ、意思を伝えようと懸命だったが、しばらくすると唸り疲れ、
ぐったりと横向きに倒れていたリーフィアがふと目を天井へと向けた。
霞み、暗くなっていた視界がさらにぼやける。遠くまで見通すことができた目も、
近視。それも重度の近眼に成り果て、細めても照明の形を判別することさえ難しくなっていた。(視力減退)
低下していく脈拍。すでに動くことを放棄し、生きることすら諦めかけているリーフィア。
その意識はすでに飛び飛びになり、目は虚ろで生気の欠片も感じられない。
汚物の海の中で出せるものは全て出しつくしたリーフィアの顔は、長い舌で床を舐め、
半目で白目を向き、鼻水、涎、涙、吐瀉物等を出し、排泄物に塗れた悲惨なものだった。(徐脈)