解析の結果、短い毛はデルビルやヘルガーの毛だと判明した。
長い毛は…突然変異とでも言うのだろうか。計算すると小さくても体長3mはあるヘルガーの毛だと分かった。
裏ポケモンハンターに頼み、傷つけないようにこの周辺で一番でかいヘルガーを捕らえ、
その群れの雑魚共は出来るだけ苦しませて殺してくれるよう頼んだ。
雑魚はともかく、頭だけは私がこの手で罰を下さなくては気がすまない。
プロがヘルガーを捉えに行っている一週間のうちに会社に辞表を提出し、家の改築を行なっておいた。
元通りに戻すだけでなく、地下室を増やしたのだ。
マジックミラーを取り付け、外の部屋から監視できるようにしておいた。
地下室の中には干し肉と水を大量に運び込み、
私が寝泊りする監視用の部屋にも布団や食料などを運んでおき、長期戦に持ち込めるようにしておいた。
裏ポケモンハンターは約束どおり、一週間後にヘルガーを連れてきてくれた。
やはりでかい。こんなのに妻が殺され、食べられたのかと思うと…
麻酔で眠り込んでいるヘルガーを地下室に運び込み、
会社から持ち出した病原菌を水と共に風船の中に入れたものを投げ込みすぐに扉を閉める。
空気感染をするタイプなので非常に危険だ。
自分で手を下すことが出来なくなってしまうのが非常に残念だが、苦しめ殺すという点ではなかなか良い。
マジックミラーのある部屋に向かい、中の様子を観察する。
かなり乱暴に放り込んだ上に、水風船がぶつかったらしく不機嫌そうに体を起こすところだった。
これからどんな風になっていくのかと黒い期待が胸の中で渦巻いていた。
投げ込んだ病原菌はコレラである。日本には1822年に持ち込まれ、「三日コロリ」と呼ばれて恐れられていた。
最初の二日間はなんともなさそうに水を飲み、肉を食べていた。
閉じ込められているのは不快そうだったが、食料があるのであまり問題はなさそうだった。
(人間では潜伏期6〜48時間)
次の日、だるそうにしていて動くのも億劫といった感じだった。
しかし、下手に刺激しても飛び掛られてお終いだ。それでは意味が無い。
妻の復讐が目的なのに殺されてしまうなんて茶番以外の何物でもなくなってしまう。(倦怠感)
腹が減ったのか、餌のほうに移動するがそれも手足を引きずるように
匍匐前進状態でゆっくりゆっくり移動するだけだ。(四肢が重く感じる)
今までは気にしていなかった地下室という環境が嫌になったようで
壁を引っかき、体当たりをし、角で突き、と思いつく限りのことをし始めた。
あくまでゆっくりとだが。角で突いているうちに角がぐらつき始めた。
本人はあまり気にしていないようで続けていると角が片方もげてしまった。
その時になってようやく取り返しのつかないことをしてしまったことに気づき、
一瞬きょとんとして落ちた角を見つめた後、激しい痛みに苦悶の声を上げた。
角のあった場所からは血があふれ、頭蓋が少し見えていた。
壁を引っかいていたため、爪は剥がれ落ちていた。
指先は血にまみれ、柔らかい肉が見え、まるで真っ赤なネイルアートを施したようにも見えた。
あばら骨は数本折れてしまったようで黒っぽい血を吐いている。内臓に刺さったようだ。
もうすでに体がぼろぼろになってしまったのでこのままぽっくり死んでしまうのかと不安になる。
まだ全然苦しめていないのにと。
しかし、まだふらつきながらも紅い目の光は消え去っていなかったので、
安心すると同時に再び憎しみが首をもたげた。(不快)