腹痛にも悩まされ始めたようで水しか飲まなくなった。
干し肉は食べてもすぐに胃液と共に吐き戻してしまっていて、
雄雄しかった姿は骨が浮きで、奴が身につけている骨のようなものとあまり変わらなくなってしまっている。
腹を押さえてのた打ち回る姿を見て私がほくそ笑んだのは言うまでも無い。
(胃痛)

深夜、ぐぅおおぉおぉぉぉというような声がするので見てみると
米のとぎ汁のように白くにごった物をうなり声と共に排泄していた。
腸の壁が傷ついてしまった様で、中には紅いものが混じっている。
相当腹が弱っているのだろう。衰弱も激しく、排泄物の中でぐったりしてしまった。汚い奴だ。
(下痢、血便)

朝になると、もう口にするものは少量の水だけだというのに胃液を吐き出し続ける。マーライオンのようだ。
長時間、何度も何度も吐き続けた所為で歯は胃酸でぼろぼろになり、口の中も爛れてしまっている。
自分の出す火には耐えられるというのに同じく自分が吐き出す胃液には耐えられないとは。
不便なものだな。
(嘔吐)

下痢が特に激しく、二日間も垂れ流し状態が続き、もう出るものなど無いといった所で
びくびくと体を激しく痙攣させて亡くなってしまった。

いきなり監視室の扉が開かれた。そこに立っていた男が導くままに、
かろうじて命を繋ぎとめた娘と共に私が今いる研究所まで連れてこられた。
妻の復讐を果たした私はもう何も考えられない状態だったので言いなりだった。
男は裏ポケモンハンターから私のことを聞きだしたらしく、ゴースを使ってこっそりと様子を伺っていたらしい。
ポケモンに対して非人道的なことを行なえる精神力と薬品等に関しての知識を見込んで働けとのことだった。

妻を失った私にとって何もかもがどうでも良かったのだが、なぜか引き受けてしまった。
ポケモン全てに対して憎しみが湧いてしまったうえに、
ヘルガーの死ぬ間際の表情を見てなんとも言えない感覚が全身を支配したためらしい。
そして今に至る…

パパ、パパ、と声がし、揺り動かされる。目を開けると目の前に娘の顔があった。
すっかり眠ってしまっていたらしい。

大きく伸びをし、娘と共に研究室に戻る。またポケモンでの実験の日々が始まる。